狩猟初心者が陥るであろう何でも揃えなければならない脅迫感の中の一つ、剣鉈についてです。結論を言えば今期の狩猟を経験して不要な装備であると感じました。
「今年から猟を始めるゾー」と言ってネットや本で情報を集めていると獲物の止め刺しにカッコいいナイフが欲しくなってきます。
いろいろ調べていると剣鉈という刀を思わせるかっこいいナイフがでてくるのです。
確かに欲しくなってしまうんですよ。
私は狩猟と言えば山の藪を掻き分けて進むイメージがあり、また猪や熊に出会ったら刃の短いナイフでは戦えないのではないか?というイメージがありました。
剣鉈が不要な理由
剣鉈のデメリットは2点あると思います。
(1)重い
(2)使用する場面が無い
(1)の重さについてですが、剣鉈って鉈なんです。
鉈の目的は薪に刃を突き立てて振り上げ、鉈の重さと薪の重さで割るのです。
従って、鉈自体に重さを付加する必要があり、ナイフとは目的が全く違います。
巻狩でタツに入る時、山登りをする場合はこの重さがデメリットとなります。
私の剣鉈は刃渡りが180mmですが、重量が550gあります。一般的には刃渡り210mmが猪の心臓に届く長さらしいので、さらに重くなるでしょう。
因みにモーラナイフなら130gですから缶ジュース1本分の差があります。
(2)の使用頻度についてですが、実際に巻狩を1シーズンしてきましたが剣鉈でないと乗り切れない場面はありませんでした。
当初は藪の中もヘッチャラで切り裂いていける気がしましたが、巻狩中にそんなシーンはありません。少なくとも獣道や人が以前に通った道を登っていきます。また少々の藪であれば手で掻き分けられますよ(笑) 剣鉈でワザワザ切ったりしません。
また、止め刺しにも使用しません。
箱罠やくくり罠にかかった獲物であれば、なんらかの方法で動けなくしてナイフで止め刺しすることはあるでしょうが、巻狩中に銃で撃った後に息がある獲物をナイフで止め刺しするなんてことは危険です。
もし息がある場合は近くにある長い木を棍棒にするか、もう一発、銃で止めを刺すべきです。
じゃあ、剣鉈は何に使うの?
狩猟1年生の私にはわかりません(笑) というのが本音ですが、あえていうなら猟をしながら山で焚き火をして、食料を剣鉈一本で捌くようなアウトドアライフを楽しむ人なら使用できる気がします。
実際、山林で山仕事に従事している人でさえ、普通の鉈を使うようです。
個人的には刀を想像する刃の美しさを眺めて楽しむ為にあるような気がします。
現時点の結論
狩猟の先輩が言われるように、荷物はなるべく軽くする方が良いです。
特に新人は、猟隊の先輩達が行きたがらない山の頂上へ登らされます。
個人的には望むところなんですが。。。
その時の荷物はなるべく軽い方が良いとつくづく感じます。
切る装備は価格の安価な軽いナイフと100円均一の折畳みノコギリの二つがあれば十分です。
え?じゃあ、猪と熊にバッタリ出くわしたらどうするの?という疑問に答えると。
銃で殴るか、弾を込めて撃って下さい。
その時間が無い場合は剣鉈やナイフで白兵戦をしても負けますよ(笑)