爆釣の裏街道。。。
人間には人の数だけドラマがある。
今日も夜、三日月を見ながら涙する。
ああ、人生は思い通りに行かない。。。
無常とは男と女の間で発生する。
大部分は男の勘違いであるが、それがいい。
今日も無常の風が吹く。
今日も無常のバイクの爆音が轟く。。。
by.椅子屋 竜太郎
さて、前編からの続きだが、まだ読んでいない人は以下を読んでから読み進めて欲しい。
直立不動のまま動かないM越の肩を叩き、店の中をのぞき込むと。。。
そこには白い塊が。。。
ギャーーーーーーーーー!
小さな町に絶叫が響き渡る。。。
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そこには、白髪と包丁?を持った推定年齢70歳の山姥がいた。。。
吾輩(このままM越を置いて逃げるべきか?。。。イヤイヤ、スナック童貞のM越を置いて帰ると尻の毛か心臓をむしり取られそうだ。さすがにそれはヤバイ。あとでコイツの会社の上司に殺されそうだ。。汗。。)
ママ「イラッシャーイ♡ さあ、さあ、中へどうぞ♡」
M越「・・・・」
M越「・・・」
M越「・・」
M越「・」
硬直したまま一言も発せず、動けないM越。。。
吾輩(オー、面白い反応だ。これは後でネタに使えそうだな。ウヒヒヒ)
吾輩「オイ!M越、入るゾ!」
M越「エ?」
吾輩「どうした? お前が決めた店だろ?」
M越「イヤ!、チョット!・・・」
硬直するM越の肩を。ドン!と押しながら、中へ入る。
吾輩「ママ、こいつスナック初めてなんでヨロシクお願いね♡」
ママ「アラ♡ 可愛いボウヤね♡」
吾輩(グヒヒー、ボウヤ? 29歳の男だゾ? そりゃそうだな、ワシだってママから言わせればボウヤだがね。)
吾輩「ママ、いい席あるーーー?」
ママ「今日はお客さんが多いの♡ カウンターより、そっちのソファーがいいわね♡」
吾輩(客が多い? バ、バカな、カウンターには1人の常連らしき人物しかいないぞ? その客は推定年齢50歳のチーママとラブラブだ。。。)
吾輩「OK! おい、M越よ、そこの席に座りなんせ。」
扉を開けて一歩も動けず、入口で固まっているM越を呼び寄せる。
M越を良く見ると、こ・こいつ震えてるぞ。。。
吾輩「よし、M越よ!一発かませ!」
M越「エ?」
吾輩「歌だよ!歌!なんか歌えるだろ?」
M越「エ?、歌ったことありませんよ。」
吾輩「え?カラオケとか行ったことないの?」
M越「ありません。」
吾輩「。。。じゃ、君が代だ! それ行け! ママー、デンモク頂戴~」
M越「エーーーー!」
ママ「お客さんはついてるわよ♡ 今日はカラオケの得点でゾロ目がでると賞金がでるのよ。ウフン♡」
まぶしい色気に吾輩はトイレに駆け込みたくなったが、ここは平常心が必要だ。
吾輩「よかったなM越よ。今日は99点が出るまで帰らないぞ!」
M越「エーーーー!」
吾輩「早く選べ。」
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10分経過。。。
吾輩はママの相手が辛くなってきた。。。
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吾輩「ダーーー。お前、何しに来たんだよ!」
取り合えず、見本を見せる為に吾輩のレパートリーを3曲連続で突っ込む。
ゲヘへへ、こんな店で遠慮する吾輩ではないからな。
そして、吾輩のジャイアンタイムが始まった。
3曲目が終わった時に、カウンターの常連が吾輩の選択曲に絡ませて勝負を挑んできた。
吾輩(ほほう。このワシに勝負を挑むつもりかね。チーママが傍にいるからといってカッコイイ所を見せようとしてるな? 目にもの見せてやるワイ!)
ここから、カウンターの常連客と吾輩の一進一退の不毛な歌対決が始まった。(内心、ママの相手だけは勘弁だ!)
客が3人しかいないが相手の曲が終わる度に2人でお互いを盛り上げ合う!
そう、これがスナックだ!
一人、蚊帳の外のM越はほっておこう、これも経験だ。
数時間後、カウンターの常連も吾輩もゾロ目を出せずに終電の時間が来た。
吾輩「おい!M越よ。最後に歌えよ。」
M越「・・・ハイ・・・」
M越が誰も知らない、よく分からない曲を入れて歌った。
カラオケの判定は。。。
77点。
ママ&チーママ「スゴーーーイ♡♡♡」
スナックが大歓声に沸いた!
ママ「素敵な歌だったワヨ♡ ウフン♡」
吾輩「やるではないかM越よ! 1発でゾロ目を出すとは! 見直したゾ!」
M越「ア、アリガトウゴザイマス・・・」
ママと両手をガッチリ握られて硬直するM越を見ていると、おばあちゃんに愛される孫のようで、吾輩の目からトメドなく涙があふれた。
吾輩(まあ、終わり良ければ総て良しダナ・・・)
賞金は500円を綺麗に包装したものだった。
ああ、今日も、この国で一日が終わった。
M越も男として一つ成長したのではないだろうか?
南無阿弥陀仏。
後日談:翌日、良く覚えていないのだが、M越が獲得したはずの賞金が吾輩のポケットに入っていたのは、なぜだろう(笑)